【百人一首の物語】七十五番「契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり」(藤原基俊)

七十五番「契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり」(藤原基俊) 暮れゆく秋のわびしそうな情景が詠まれていますが、実のところこれは「秋(四季)」ではなく「雑」の歌です。この歌を理解するためには、採られた千載集...

【百人一首の物語】七十四番「憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを」(源俊頼朝臣)

七十四番「憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを」(源俊頼朝臣) 源俊頼は七十一番の源経信を父に持ち、子に八十五番の俊恵がいます。百人一首に親子ペアは相当数(18組)ありますが、親、子、孫と三代で採られ...

【百人一首の物語】七十三番「高砂の尾の上の桜さきにけり外山の霞たたずもあらなむ」(前権中納言匡房)

七十三番「高砂の尾の上の桜さきにけり外山の霞たたずもあらなむ」(前権中納言匡房)  「遠くの山に桜が咲いた、近くの山の霞よどうか立たないでおくれ」。 遠景の山の桜と近景の霞を対照させたいわゆる長高い歌、和歌らしい模範的な...

【百人一首の物語】七十二番「音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖のぬれもこそすれ」(祐子内親王家紀伊)

七十二番「音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖のぬれもこそすれ」(祐子内親王家紀伊) 詠み人は祐子内親王家紀伊、名前の冠が長いほど偉いのが男性でしたが、女房の場合はたんに所属が記されているだけです。ただ前代までは清少納言...

【百人一首の物語】七十一番「夕されば門田の稲葉おとづれて芦のまろやに秋風ぞふく」(大納言経信)

七十一番「夕されば門田の稲葉おとづれて芦のまろやに秋風ぞふく」(大納言経信) 前の七十番に続いて「秋の夕暮れ」の情景です、しかも同じく美しくて寂しい秋の夕暮れです。 「夕方になると門田の稲葉がそよそよと音を立てて、ああ、...

和歌マニア(第108回)学びなおしの和歌講座「菊の秘密!」を知る

菊の花ですが、今や仏前や刺身の上にあって、なんだか地味な存在になってしまいました。しかし和歌ではまさに「花形」! 今回は「菊」の和歌での詠まれ方や、万葉集に一首もなくて古今集で詠まれるようになった理由を探ります。来年は「...

【百人一首の物語】七十番「さびしさに宿を立ち出でてながむればいづこも同じ秋の夕暮れ」(良暹法師)

七十番「さびしさに宿を立ち出でてながむればいづこも同じ秋の夕暮れ」(良暹法師) 詠み人の良暹法師ですが、詳しい出自や経歴がわからない、いわゆる“正体不明歌人”です。猿丸太夫や蝉丸など百人一首の前半にはこういった人たちをチ...

現代短歌の機能不全、「文語的世界」の崩壊

現代短歌と古典和歌との違いを考えるとき、題とか韻律とかさまざまな要点が考えられますが、根本的には「現実性」の違いにあると思います。和歌はいうなれば「虚構の文学」で、男が女にもなればその逆も自然にあって、大貴族が貧しい農民...

和歌マニア(第107回)学びなおしの和歌講座! 「中秋の名月」の歌を知る

みなさま「中秋の名月」は“見てはいけない”ことをご存じでしょうか? 和歌に詠まれた「中秋の名月」を知り、今年のお月見をいっそう楽しみましょう! 和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう! 代表的な古典作品に学び、一人ひとりが...

【百人一首の物語】六十九番「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり」能因法師

六十九番「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり」能因法師 百人一首には十番の蝉丸も勘定に入れると、坊主が十三人採られています。一口に坊主といってもいろんな人がいて、かつての大貴族が出家してそのまま大僧正とか偉い...