【百人一首の物語】七十番「さびしさに宿を立ち出でてながむればいづこも同じ秋の夕暮れ」(良暹法師)

七十番「さびしさに宿を立ち出でてながむればいづこも同じ秋の夕暮れ」(良暹法師) 詠み人の良暹法師ですが、詳しい出自や経歴がわからない、いわゆる“正体不明歌人”です。猿丸太夫や蝉丸など百人一首の前半にはこういった人たちをチ...

【百人一首の物語】六十九番「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり」能因法師

六十九番「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり」能因法師 百人一首には十番の蝉丸も勘定に入れると、坊主が十三人採られています。一口に坊主といってもいろんな人がいて、かつての大貴族が出家してそのまま大僧正とか偉い...

【百人一首の物語】六十八番「心にもあらでこの世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな」(三条院)

六十八番「心にもあらでこの世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな」(三条院) 和歌と現代短歌の違いの最たるは、「リアリティ」というところにあると思います。現代短歌は「我」が生きる生の実感をえぐるように吐き出したところに、...

【百人一首の物語】六十七番「春の夜の夢ばかりなる手枕にかひなくたたむ名こそ惜しけれ」(周防内侍)

六十七番「春の夜の夢ばかりなる手枕にかひなくたたむ名こそ惜しけれ」(周防内侍) 張りつめていた空気があれよと解けるおもしろさ、いいも悪いも百人一首の配列は妙技です。 歌ですが千載集の詞書にはこうあります。二月の月の明るい...

【百人一首の物語】六十六番「もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし」前大僧正行尊

六十六番「もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし」前大僧正行尊 中世文学の重要なキーワードに「漂白の歌人」というものがあると思いますが、それを形作ったのが行尊です。行尊は祖父に三条院をもち、父基平は参議に昇る...

【百人一首の物語】六十五番「恨みわびほさぬ袖だにあるものを恋にくちなむ名こそおしけれ」(相模)

六十五番「恨みわびほさぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ」(相模) 「生老病死」、これらは人生に横たわる恐怖の根源といえるものですが、それにもまして平安貴族が恐れたものがあります。なにか? それは“人のうわさ”...

【百人一首の物語】六十四番「朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらはれわたる瀬々の網代木」(権中納言定頼)  

六十四番「朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらはれわたる瀬々の網代木」(権中納言定頼) この歌、実は革新的な一首です。和歌とは本来、人の心を種としてよろずの言の葉になったものですから、自然風景に託されて人間の心情、思いの丈が...

【百人一首の物語】六十三番「今はただ思ひ絶なんとばかりを人づてならで言ふよしもがな」(左京大夫道雅)

六十三番「今はただお思ひ絶なんとばかりを人づてならで言ふよしもがな」(左京大夫道雅) 左京大夫道雅(藤原道雅)は藤原伊周の長男、五十四番の儀同三司母は祖母にあたります。百人一首を見まわした時、歴史的に先行するはずの前歌の...

【百人一首の物語】六十二番「夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」(清少納言)

六十二番「夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」(清少納言) 清少納言とえば五十七番の紫式部とともに平安時代の著名な女房であり、互いのライバル関係が古典的な語り草となっていますよね。しかし、じつのところこ...

【百人一首の物語】六十一番「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな 」(伊勢大輔)

六十一番「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな 」(伊勢大輔) 当意即妙の歌のやりとり、和歌のダイナミズムを知れるのは以外にも!? 女房歌人の歌だったりします。百人一首では六十番台前半の小式部内侍と伊勢大輔...

【百人一首の物語】六十番「大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立」(小式部内侍)

六十番「大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立」(小式部内侍) いつの時代も、イヤミな男は嫌われますね。歌合せに招かれることになった小式部内侍、そこにある男が現れます。その名は藤原定頼、こいつはご丁寧にも「歌は...

【百人一首の物語】五十九番「やすらはで寝なましものをさ夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな」(赤染衛門)

五十九番「やすらはで寝なましものをさ夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな」(赤染衛門) あなたが来ないことを知っていたら、ためらわず寝てしまったものを。ほれこのとおり、夜明けの月を見るまで待ってしまいました。和歌で夜明けに...

【百人一首の物語】五十八番「有馬山猪名の篠原かぜ吹けばいでそよ人を忘れやはする」(大弐三位)

五十八番「有馬山猪名の篠原かぜ吹けばいでそよ人を忘れやはする」(大弐三位) 大弐三位は紫式部の娘です。この後のラインナップをみると登場がちょっと早いんじゃないかと思いますが、定家は母の後につづいて娘を配置しました。実はこ...

【百人一首の物語】五十七番「めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに雲がくれにし夜半の月かな」(紫式部)

五十七番「めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに雲がくれにし夜半の月かな」(紫式部) 和泉式部を「けしからぬ方」と評した紫式部は、彰子後宮の同僚でした。いわずもがな、紫式部は「源氏物語」の作者でありますが、このような歴史的...