としよりは斯く語りき「神祇のおもしろエピソード」~和歌中級者におくる至言~

むかし、としよりはこのように語った… なんかワシの話がつまらんというような顔をしとるのお。しょうがない、今日はちょっと面白い歌を紹介してやろう。神祇の歌じゃ。 「近江なる筑摩の祭りとくせなむつれなき人の鍋の数見む」 知っ...

としよりは斯く語りき「恋歌の詠み方」~和歌中級者におくる至言~

むかし、としよりはこのように語った… お前は本当におねだり上手だな。しょうがない、それでは四季に続いてちょっとだけ恋の詠み方を伝授してやろう。 だいたいな、困ったときはこの二つに頼れば間違いない。まずは「糸」じゃ! 夏引...

としよりは斯く語りき「四季歌の詠み方」~和歌中級者におくる至言~

むかし、としよりはこのように語った… 最近の歌と言えば「題詠」が基本だわな。しかし容易なようで案外難しいのがこの題詠というやつじゃ。そこでな、今日は四季歌における折々の題に応じた相応しい詠み方というのを教えてやろう。 は...

としよりは斯く語りき「似物(ニセモノ)」~和歌中級者におくる至言~

むかし、としよりはこのように語った… 歌づくりに困ったらのう、とりあえずはニセモノを詠んどけば間違いない。 ニセモノといっても「偽物」ではないぞ、「似物」のことじゃ。 たとえば桜を白雲に見立てるとか、散る花を雪になぞらえ...

としよりは斯く語りき「歌病その2」~和歌中級者におくる至言~

むかし、としよりはこのように語った… 歌の病は避けるべきといってもな、実のところ古い歌の中にいくらでもある。 「梓弓おして春雨けふ降りぬ明日さえ降らば若菜摘みてむ」 こりゃいかん!『降りぬ』と『降らば』が見事に被っておる...

としよりは斯く語りき「歌病その1」~和歌中級者におくる至言~

むかし、としよりはこのように語った… 歌の病を避けること、これは古来より口酸っぱく言われておる。病と言っても病気のことではないぞ、歌を詠むうえで必ず避けるべきことがらじゃ。しかしこれを厳格にしすぎるととてもお前なんぞが歌...

和歌の本性「一期一会と悪あがきの爪痕」

和歌とは「一期一会」の感動、それに尽きる。 人はなべて冷酷な世界を生きている、永遠に止まない「時間」という絶対王に支配された世界だ。ここで人は生まれ落ちた刹那、全員が死という逃れられない運命に向けて行軍する。足を止めるこ...

和歌という行為の本質、「いろは歌」と「三法印」

いわゆる「歌の父母」をご存知でしょうか? 紀貫之は古今集の仮名序に「難波津」と「安積山」を挙げ、歌の父母でありまた書の手習いとしても定番であると記しています。今でも「難波津」は百人一首(競技かるた)の序歌として親しまれて...

詩歌の変遷と「令和和歌所」が目指す地平

上の図表に日本詩歌の変遷をざっくりと整理していますので、まずご覧ください。 そのうえで、私が理解する要点を以下に三つ挙げます。 ・万葉集、古今和歌集から始まった日本の詩歌文芸は、元禄時代の松尾芭蕉によってその道の頂点に到...