【百人一首の物語】八十六番「嘆けとて月やはものを思はするかこち顔なるわが涙かな」(西行法師)
八十六番「嘆けとて月やはものを思はするかこち顔なるわが涙かな」(西行法師) 坊主歌人が続きます、その名は西行。西行は人気、実力ともに抜群で、昔も今も風流人の尊敬と憧憬を集めています。その魅力はなんといっても「旅」でしょう...
八十六番「嘆けとて月やはものを思はするかこち顔なるわが涙かな」(西行法師) 坊主歌人が続きます、その名は西行。西行は人気、実力ともに抜群で、昔も今も風流人の尊敬と憧憬を集めています。その魅力はなんといっても「旅」でしょう...
今回はろっこのリクエストから「祈り」が詠まれた和歌をご紹介します。祈りにはさまざまありますが、今回は新古今集の「釈教歌」からピックアップしました。ぜひお聞きください。 和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう! 代表的な古典...
八十五番「夜もすがらもの思ふころは明けやらで閨のひまさへつれなかりけり」(俊恵法師) 寝室の扉の隙間。そこは本来、愛しい人が訪れる希望の通い路である。しかし訪れがないとなれば一転、底知れぬ絶望へと続く蝦蟇口となる。ああ、...
八十四番「ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞいまは恋しき」(藤原清輔朝臣) 藤原清輔は七十九番の顕輔の次男。父亡き後に六条藤家を継ぎ、前歌、御子左家の俊成とは宮廷歌壇のライバルとしてしのぎを削りました。その...
八十三番「世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる」(皇太后宮大夫俊成) 俊成といえば言わずもがな平安末期歌壇の重鎮、後白河院の下で「千載和歌集」を撰進し、後鳥羽院の下では「千五百番歌合百首」などを詠進するなど...
八十二番「思ひわびさても命はある物を憂きにたへぬは涙なりけり」(道因法師) 「つれない恋に思い悩みながらも、それでも生きながらえている私は、つらさに堪えきれずしぜんと涙が流れます」 歌にある「わぶ」は、今ではほとんど「...
八十一番「ほととぎす鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる」(後徳大寺左大臣) 「ほととぎすが鳴いている方を見たら有明の月があった」。なんのひねりもない、ただそれだけの歌です。題は「暁聞郭公(暁に郭公を聞く)」という...
前回(109回)に続いて古今和歌集の「秋下」から「紅葉」が詠まれた歌をご紹介します。今回は「散る紅葉」に寄せる感情と、「紅葉と旅」の関係をお話ししました。そろそろ紅葉が色づくころですが、古典文学における紅葉もお楽しみくだ...
八十番「長からむ心もしらず黒髪の乱れて今朝はものをこそ思へ」(待賢門院堀河) 作者の待賢門院堀河はその名が表すとおり、鳥羽天皇の中宮である待賢門院璋子に出仕した女房です。院政期の代表的な女流歌人で「久安百首」の作者にも名...
七十九番「秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月の影のさやけさ」(左京大夫顕輔) 崇徳院歌壇の代表格が、この左京大夫顕輔こと藤原顕輔です。彼の家は「六条藤家」といって、父...
古今和歌集の「秋下」から「紅葉」が詠まれた歌をご紹介します。今回はその前編として「紅葉の色が染まっていく様子」や「紅葉が詠まれた名所(佐保山、竜田川…)」をピックアップ! 紅葉狩りに行く前に、ぜひ紅葉のただしい鑑賞眼を養...
七十八番「淡路嶋かよふ千鳥の鳴く声にいく夜寝覚ぬ須磨の関守」(源兼昌) 七十六番から崇徳院歌壇ゆかりの歌人が採られ、顕輔、堀川らへと続いてくのですが、その中ほどにこの源兼昌が置かれているのは、ちょっと理解に苦しむ配列です...
七十七番「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ」(崇徳院) 平安末期の激動のそのど真ん中にいたのがこの崇徳院です。皇室、摂関家そして武家勢力入り乱れての内乱、「保元の乱(1156年)」で前の七十六番忠通...
七十六番「わたの原こぎ出でてみればひさかたの雲居にまがふ沖つ白波」(法性寺入道前関白太政大臣) 定家とはじつに意地の悪い人間のようです。前の七十五番でご紹介した“あはれな男”の次に、その当事者たるボスの藤原忠通(法性寺入...