【字幕解説つき】令和和歌所『春の歌合』題 遠山桜 一~十番(令和七年二月)

去る令和七年二月十七日(新暦三月十六日)、上野桜木にて恒例の「春の歌合」を開催しました。 歌合とは歌題によって詠んだ歌(詠み人)を左右に分け、一番ごとに番え、それぞれを左右方人の評を受けた上で、判者が優劣を判断する、遊び...

【和歌吟行】備中高梁

序 備中高梁は今や雲海に浮かぶ備中松山城で有名だが、わたしにとっては「男はつらいよ」のロケ地として、とりわけ愛すべき第32作「口笛を吹く寅次郎」の舞台として心を占めている。 草々 劇中では素朴な駅舎であったが「見し影やい...

令和和歌所 令和六年十月「秋の歌合」ダイジェスト動画(題「無常」一番、 二番)

去る令和六年十月廿日、上野桜木にて恒例の「秋の歌合」を開催しました。古を慕うわれら和歌所では、「歌合」の伝統的な形式すなわち以下の手順で執りおこなっています。今回はそのダイジェストとして、題「無常」の一、二番の模様をお送...

和歌における恋のテーマ・歌題その10「旧恋(ふるきこひ)」の和歌の例

「旧恋(ふるきこひ)」は、これまで見てきた“恋のプロセス”の範疇を超えたところにあります。昔の恋、またはいつまでも忘れられない恋を思い出し、歌に詠んだものです。恋が終わってずいぶん経っているはずですから、とうぜん割り切っ...

和歌における恋のテーマ・歌題その9「恨(うらむ)」の和歌の例

「恨(うらむ)」は、恋における最終局面の歌題です。「恨」という題のとおり、疎遠になった相手への恨み、また悲歎の心が詠まれます。ようするに和歌における恋愛の結末は、決してハッピーエンドとはならないということです。しかしこれ...

和歌における「雨」の言い方(古今和歌説話 その一)

 むかしこのように聞いた。和歌では春の雨を「はるさめ」と言う。夏の、暑さを癒すようないい時分に降る雨を「ときの雨」と言うべきであると。しかし、十月に降る雨を時の雨と書いて「しぐれ」とも言う。これは降ったりやんだりする通り...

和歌における恋のテーマ・歌題その8「待恋(まつこひ)」

「待恋(まつこひ)」は文字通り、恋しい人の訪れを待ちわびる心情を詠んだ歌です。愛しい人を待つ、という状況は、恋のあらゆる段階に渡って生じると思うのですが、和歌では古今集の「恋四・五」に集中して詠まれていることからもわかる...