【和歌吟行】東への帰り路にて
序 出雲より東への帰り路の車窓より 草々 車窓より大山を見て「乗りあひの人もゆかしく思ふかなとほざかりゆく伯耆の富士を」 「目に映えていみぢきものはしろたへの雪をかぶれる冬の大山」 「だんだんと思ふこころぞまさりゆくふた...
序 出雲より東への帰り路の車窓より 草々 車窓より大山を見て「乗りあひの人もゆかしく思ふかなとほざかりゆく伯耆の富士を」 「目に映えていみぢきものはしろたへの雪をかぶれる冬の大山」 「だんだんと思ふこころぞまさりゆくふた...
序 初春の日、意宇(現在の松江・安来の一部)にてある神々の社をめぐりすがら詠める 草々 八重垣神社にて「八雲立つべきや出雲の八重垣に八重垣あらで日ぞ照らしつる」(圓学) 竹内神社にて「今年こそ大和の歌を伝えよとやる気達磨...
序 来秋のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」にちなみ、令和六年大晦日、松江にてある小泉八雲旧居を訪れて。 草々 八雲庵に明々庵、出雲そばの名店が点在する城山の地区に、小泉八雲の記念館と旧居があります。一般的には『小泉八雲』...
序 備中高梁は今や雲海に浮かぶ備中松山城で有名だが、わたしにとっては「男はつらいよ」のロケ地として、とりわけ愛すべき第32作「口笛を吹く寅次郎」の舞台として心を占めている。 草々 劇中では素朴な駅舎であったが「見し影やい...
去る令和六年十月廿日、上野桜木にて恒例の「秋の歌合」を開催しました。古を慕うわれら和歌所では、「歌合」の伝統的な形式すなわち以下の手順で執りおこなっています。今回はそのダイジェストとして、題「無常」の一、二番の模様をお送...
三条院(67代天皇)は、冷泉天皇の第二皇子として誕生しました。幼少期に母を亡くし11歳で立太子されるも、即位まで25年ものあいだ皇太子として過ごします。一条天皇から譲位されてようやく天皇に即位しますが、藤原道長との権力闘...
「旧恋(ふるきこひ)」は、これまで見てきた“恋のプロセス”の範疇を超えたところにあります。昔の恋、またはいつまでも忘れられない恋を思い出し、歌に詠んだものです。恋が終わってずいぶん経っているはずですから、とうぜん割り切っ...
「恨(うらむ)」は、恋における最終局面の歌題です。「恨」という題のとおり、疎遠になった相手への恨み、また悲歎の心が詠まれます。ようするに和歌における恋愛の結末は、決してハッピーエンドとはならないということです。しかしこれ...
むかしこのように聞いた。和歌では春の雨を「はるさめ」と言う。夏の、暑さを癒すようないい時分に降る雨を「ときの雨」と言うべきであると。しかし、十月に降る雨を時の雨と書いて「しぐれ」とも言う。これは降ったりやんだりする通り...
「待恋(まつこひ)」は文字通り、恋しい人の訪れを待ちわびる心情を詠んだ歌です。愛しい人を待つ、という状況は、恋のあらゆる段階に渡って生じると思うのですが、和歌では古今集の「恋四・五」に集中して詠まれていることからもわかる...
「遇不逢恋(あひてあはざるこひ)」とは、一時は関係を深めた男女がしだいに疎遠になりつつある状況で、いま一度関係を取り戻したと願いつつも、それが叶わないという悲歎や迷いを詠んだものです。詠まれる言葉としては、「離(かれ)」...
令和和歌所は二条流を受け継ぎ、初代勅撰和歌集である古今和歌集を慕い、平明で温雅という和歌の王道を、新しい心で詠み継いでいます。 本書は月次歌会「あかね歌会」で詠まれたくさぐさの歌を、季ごとにまとめた季刊誌です。また「和歌...
「憚人目恋(ひとめをはばかるこひ)」とは、何らかの理由で恋人と会うことに差し障りが生じてしまった、その苦悩を詠んだ歌です。愛しい人と会えないという状況は「不遇恋」と変わらないのですが、「憚人目恋」はすでに逢瀬を遂げた、結...