【和歌吟行】備中高梁

序 備中高梁は今や雲海に浮かぶ備中松山城で有名だが、わたしにとっては「男はつらいよ」のロケ地として、とりわけ愛すべき第32作「口笛を吹く寅次郎」の舞台として心を占めている。 草々 劇中では素朴な駅舎であったが「見し影やい...

令和和歌所 令和六年十月「秋の歌合」ダイジェスト動画(題「無常」一番、 二番)

去る令和六年十月廿日、上野桜木にて恒例の「秋の歌合」を開催しました。古を慕うわれら和歌所では、「歌合」の伝統的な形式すなわち以下の手順で執りおこなっています。今回はそのダイジェストとして、題「無常」の一、二番の模様をお送...

和歌における恋のテーマ・歌題その10「旧恋(ふるきこひ)」の和歌の例

「旧恋(ふるきこひ)」は、これまで見てきた“恋のプロセス”の範疇を超えたところにあります。昔の恋、またはいつまでも忘れられない恋を思い出し、歌に詠んだものです。恋が終わってずいぶん経っているはずですから、とうぜん割り切っ...

和歌における恋のテーマ・歌題その9「恨(うらむ)」の和歌の例

「恨(うらむ)」は、恋における最終局面の歌題です。「恨」という題のとおり、疎遠になった相手への恨み、また悲歎の心が詠まれます。ようするに和歌における恋愛の結末は、決してハッピーエンドとはならないということです。しかしこれ...

和歌における「雨」の言い方(古今和歌説話 その一)

 むかしこのように聞いた。和歌では春の雨を「はるさめ」と言う。夏の、暑さを癒すようないい時分に降る雨を「ときの雨」と言うべきであると。しかし、十月に降る雨を時の雨と書いて「しぐれ」とも言う。これは降ったりやんだりする通り...

和歌における恋のテーマ・歌題その8「待恋(まつこひ)」

「待恋(まつこひ)」は文字通り、恋しい人の訪れを待ちわびる心情を詠んだ歌です。愛しい人を待つ、という状況は、恋のあらゆる段階に渡って生じると思うのですが、和歌では古今集の「恋四・五」に集中して詠まれていることからもわかる...

和歌における恋のテーマ・歌題その7「遇不逢恋(あひてあはざるこひ)」

「遇不逢恋(あひてあはざるこひ)」とは、一時は関係を深めた男女がしだいに疎遠になりつつある状況で、いま一度関係を取り戻したと願いつつも、それが叶わないという悲歎や迷いを詠んだものです。詠まれる言葉としては、「離(かれ)」...

「和歌文芸」令和六年春号 ~令和のあたらしい和歌と和歌文化の様々な表現~ (Amazonにて販売中)

令和和歌所は二条流を受け継ぎ、初代勅撰和歌集である古今和歌集を慕い、平明で温雅という和歌の王道を、新しい心で詠み継いでいます。 本書は月次歌会「あかね歌会」で詠まれたくさぐさの歌を、季ごとにまとめた季刊誌です。また「和歌...

和歌・歌道と幸福論

突然ですがみなさん、幸せですか? 143の国や地域を対象にした、国連の「2024年 世界幸福度レポート」によると、日本人の幸福度は前回より4つ順位を下げて51位でした。ちなみにこれはG7諸国の中で最下位です。また年齢別に...

和歌における恋のテーマ・歌題その6「憚人目恋(ひとめをはばかるこひ)」

「憚人目恋(ひとめをはばかるこひ)」とは、何らかの理由で恋人と会うことに差し障りが生じてしまった、その苦悩を詠んだ歌です。愛しい人と会えないという状況は「不遇恋」と変わらないのですが、「憚人目恋」はすでに逢瀬を遂げた、結...