年暮を書く「年の瀬や」

「年の瀬や水の流れと人の身はあした待たるるその宝船」(宝井其角、大高源吾) 時代は下って元禄十四年三月十四日、江戸城松の廊下にて赤穂藩主浅野内匠頭が幕府高家の吉良上野介を斬りつけた。吉良は死にはしなかったが、加害者たる浅...

夏を書く「竹の奥」

「枝に漏る朝日の影の少なさに涼しさ深き竹の奥かな」(京極為兼) 「竹林」、今や日本美の典型であるが、これの成立は案外新しい。それこそ玉葉集ひいては京極為兼の功績と言えよう。「歳寒三友」をご存じだろうか、中国文人画では寒き...

夏を書く「五月雨」

「五月雨の空だにすめる月影に涙の雨は晴るる間もなし」(赤染衛門) 『雨は上がり、空には清らに澄んだ月が浮かぶ。しかし私はの気持ちは晴れることなく、変わらず泣き続けています』。五月雨の恋であるが昨日の躬恒より幾分優れていよ...

夏を書く「杜若」

「唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ」(在原業平) いずれ菖蒲か杜若というが、和歌でこのふたつを見分けるのは易しい。実のところ和歌に詠まれる菖蒲はいわゆる「花菖蒲」ではなく「根菖蒲」であるため、違い...

夏を書く「短夜」

「まだ宵の月待つとても明けにけり短き夢の結ぶともなく」   (後鳥羽院) 『日暮れの月を待っていたのに、あれよという間に夜は明けてしまった。短い夢を見ることもなく』。夏の短夜の歌であるが、終始恋の匂いが漂っている。月は男...

夏を書く「天香久山」

この歌は万葉集にのる持統天皇の歌なり。今日の日にふさわしく思へば書きつけるなり。 「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天香具山」 (持統天皇) 代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを...