冬の夜は天ぎる雪に空さえて雲の浪路に凍る月影(宜秋門院丹後)
なるほど今日のような歌も採られていると思えば、新勅撰集だって決して悪くない。『冴え冴えとした冬の夜。一面を曇らせる雪と雲とがまるで白浪となったその間から、月が凍えるように立ち昇ってゆく』。一目でそれとわかる新古今の風情、...
なるほど今日のような歌も採られていると思えば、新勅撰集だって決して悪くない。『冴え冴えとした冬の夜。一面を曇らせる雪と雲とがまるで白浪となったその間から、月が凍えるように立ち昇ってゆく』。一目でそれとわかる新古今の風情、...
明けましておめでとうございます。和歌DJうっちーです。本年も変わらぬご引き立てのほど宜しくお願い致します。 さていきなりですが、恐ろしい時代が顕在化してきました。厚生労働省の推計によると昨年令和元年の人口減少数は44万8...
今日から暫し「月」をご紹介しよう、実のところ冬の月ほど美しいものはない。と言えば和歌いや日本の文化的観念で月といえば「秋」ではなかったのか、とのご指摘があるだろう。確かに「中秋の名月」とは飽きるほど聞く言葉である、しかし...
今日の歌は珍しい、何がといえば「鴨」が詠まれているのだ。『思ってごらん。霜を置かない袖だって冷たい冬の夜にだよ、池の鴨の上毛はどんだけ冷え冷えとしてるかってことを!』。詠み人は風流人の誉れ高い藤原公任、確かに歌の内容に同...
和歌所では、ML(メーリングリスト)で歌の交流をしています。花鳥風月の題詠や日常の写実歌など、ジャンル不問で気の向くままに歌を詠み交わしています。参加・退会は自由、どうぞお気軽にご参加ください。→「歌詠みメーリングリスト...
『水鳥なんていい気なもんね、四六時中水の上にプカプカ浮いちゃって。でも憂き世にフラフラ~と浮いて日々を過ごす私も似たようなもんか、、』。千載集に採られた紫式部の歌であるが、案外こういう歌から「鴛(水鳥)」即ち「憂き」が盛...
今日の歌で鴛は池水を離れ、空を自由に飛び交っている。かと言って、うき(浮き、憂き)寝に決別し新たなる旅立ち(恋)に臨む! というような気分一新の歌ではない。『飛び交う鴛の羽によって生じる風が寒いので、池の氷が一段と冷え増...
山鳥や鹿にも雌雄別離の悲哀が詠まれるが、鴛の場合はその寂しさが甚大だ。『水に数を書く、なんて出来やしないことを毎晩続ける』それほどの虚しさだというのだ、鴛の独り寝は! 昨日の崇徳院に勝らずとも劣らない、孤絶の極まった歌で...
みなさん初詣には行かれましたか? 私は地元島根の須我神社へお参りに行きました。島根県雲南市にあるこの「須我神社」、実は知る人ぞ知る「和歌の聖地」なのです。 神話の時代、八岐大蛇を退治した須佐之男命は稲田姫と共に出雲の地で...
いや~、見どころ満載でしたね!お正月に放送された英雄たちの選択「百人一首~藤原定家 三十一文字の革命~」。まさに百人一首祭りといった満腹感でした。 何といっても出し惜しみのないテンポの速さが良かったと思います。各エピソー...
「上毛の霜よ! 下の氷よ!」、古典和歌においてこのようなリフレインは極めて珍しい。様々な憶測を呼ぶ崇徳院の名歌にあって、これぞ随一の絶唱といえよう。鴛は「鴛鴦夫婦」という言葉があるように男女の仲睦まじく互いについた霜を払...
『人の訪れまでも霜枯れ(離れ)た宿だから、今朝の有明の月は無性に寂しいよ』。試合開始前にノーサイドの笛が鳴る、今日のはそんなやるせない歌だ。詠み人具平は「ともひら」と読む、文芸に秀でた村上天皇の第七皇子、玉葉集に採られて...
さて、お分かりだろうが昨日から題が「霜」に移っている。『久木が生える野原の茅に置く霜の、その白さを見れば、ああ夜が更けたのだなぁ』。久木とは今でいう「アカメガシワ」で柏のように大きい葉が特徴だ。ただ霜が置くのは茅の方でそ...
鳥は鳥でも今日のは鵲(かささぎ)、百人一首の六番歌で知らぬ者は少ないだろう。新古今に採られた家持歌だが、しかしこれは素直でない。「かささぎの渡せる橋」とは牽牛と織姫を結ぶ七夕の夜にあるもので、和歌の絶対のルールに従えば「...