2020年。「若優老劣」思想の幕開けと「和歌のすすめ」

明けましておめでとうございます。和歌DJうっちーです。
本年も変わらぬご引き立てのほど宜しくお願い致します。

さていきなりですが、恐ろしい時代が顕在化してきました。厚生労働省の推計によると昨年令和元年の人口減少数は44万8千人で、初めて40万人を超えたとのことです。年間出生数も92万1千人で3年連続100万人を割る一方、65歳以上の高齢者の人口は3,558万人となり、総人口に占めるその割合は28.1%にもなるそうです。

令和元年版高齢社会白書

日本の高齢化は世界でも類を見ない勢いで進行している、これはこれで憂慮すべき問題ですが、私が冒頭で“恐ろしい時代”と言ったのはこれではありません。少子高齢化による“若優老劣”の空気が目に見えて広がってきた、ということです。

労働もままならず新しい技術にも置いてけぼりの老人は無価値であり、若いことのみをもって優れていると考える。この「優生思想」ならぬ「若生思想」が明らかに時代の大勢を占めているようになってきたと感じるのです。

確かにいつの時代もそのように考える人間は少なくなかったでしょう。しかし儒教精神といった伝統的モラルが崩壊した今となっては、誰に憚れることなく“若優老劣”が声高く叫ばれるようになってしまったのです。

これは本当に恐ろしい話です。なぜなら人生のピークは生まれ落ちたその時であり、人生を歩むほどに転落一途、無用の道を進むということなのですから。そんな人生、だれが生きたいと思います?

私たちはこれと戦わねばなりません! だれと? “若優老劣”を唱える若者と? 違います。私たちが戦うべき相手は、老いるごとに価値が劣っていくと考える「人生観」です。今私たち大人が示すべきは、生きるほどに老いるほどに人生は豊かになるというポジティブな価値観なのです。

さて、少々熱っぽくなりましたが、この話が和歌となんの関係があるか? 実のところ大ありです!

和歌とは「一期一会」、その感動を三十一文字に記したものに他なりません。なんだそんなことかとあしらわないでください、大抵の人間は一期一会をほとんど軽んじているんですから。

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年を重ねるほどに積み重なるもの、それが 一期一会の経験です。実のところ人生の豊かさ醍醐味とは一期一会 によって得られる感動なのです。だから思うのです、老いるほどに心は豊かになってゆくものと。

これが現代人の共通理解にないのは、人々が和歌を詠まなくなったから。と、私は考えています。大の大人が和歌の一つも詠まなくなったから、老いることの素晴らしさそして一期一会の感動が伝わらなくなってしまったのです。

和歌を詠むのは大人の使命です。なんて言い過ぎかもしれませんが、和歌を詠みたくなったらぜひ「令和和歌所」の門を気軽に叩いてみてください。一緒に和歌を詠み残しましょう。

令和和歌所の歌会・和歌教室、和歌Bar

(書き手:和歌DJうっちー)

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