和歌における恋のテーマ・歌題その5「不遇恋(あはざるこひ)」

「不遇恋(あはざるこひ)」は恋しい人に逢うことが出来ないことやその辛さを詠んだ歌です。歌の心情としては現代人にも通じますから、詠みやすい歌題といえるでしょう。ただ辛さで涙にぬれることを「袖や袂」で表したりするのが古典の常...

【百人一首の物語】八十三番「世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる」(皇太后宮大夫俊成)

八十三番「世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる」(皇太后宮大夫俊成) 俊成といえば言わずもがな平安末期歌壇の重鎮、後白河院の下で「千載和歌集」を撰進し、後鳥羽院の下では「千五百番歌合百首」などを詠進するなど...

【百人一首の物語】四十一番「恋すてふわが名はまだき立ちにけり人しれずこそ思ひ初めしか」(壬生忠見)

四十一番「恋すてふわが名はまだき立ちにけり人しれずこそ思ひ初めしか」(壬生忠見) (前歌より続く) 天徳内裏歌合のその最終二十番、兼盛と忠見の勝負の結末は… いずれも甲乙つけがたく判者(藤原実頼)は悩んだすえに「持」、引...

【百人一首の物語】十八番「住の江の岸による波よるさへや夢のかよひ路人めよくらむ」(藤原敏行朝臣)

十八番「住の江の岸による波よるさへや夢のかよひ路人めよくらむ」(藤原敏行朝臣) 名うての貴公子が連なる十番台において突如謎の男が現れた、藤原敏行である。ちなみに業平にもあった「朝臣」だが、これは天武天皇が制定した八色の姓...

【百人一首の物語】十三番「筑波嶺の峰より落つる男女川恋ぞつもりて淵となりぬる」(陽成院)

十三番「筑波嶺の峰より落つる男女川恋ぞつもりて淵となりぬる」(陽成院) ようやく恋歌らしい恋歌が登場、陽成院の一首です。「筑波山の峰から流れ落ちる男女川の水流がやがて深い淵にとなるように、あなたへの恋心も深く底知れないも...

【百人一首の物語】十一番「わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟」(参議篁)

十一番「わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟」(参議篁) 蝉丸に続いて採られたのは参議篁、実名を小野篁という。ちなみに参議とは中納言に次ぐポジション、これ以上を公卿と言って最高幹部の一員をなす。ところで...

【百人一首の物語】十番「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」(蝉丸)

十番「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」(蝉丸) 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」。孤高のひねくれ者、藤原定家の名文句であるがやはりその人らしいというべきか。平凡は喜撰、小町と続けてきたら遍照、業平とやりそう...

【百人一首の物語】七番「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」(阿倍仲麻呂)

七番「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」(阿倍仲麻呂) 百人一首のなかでもいや真砂のごとき和歌にあって、これほど愛唱される歌はないだろう、七番「天の原」である。 作者仲麻呂はあらためて説明するまでもない...