平成最後となった、平成31年の歌会始の儀

本日(1/16)新年恒例の歌会始の儀が催されました。
歌会始はいわゆる題詠で、今年のお題は【光】。
→「平成最後の歌会始 陛下、ヒマワリの成長詠む(日本経済新聞)

「贈られしひまはりの種は生え揃ひ 葉を広げゆく初夏の光に」(御製)
記事によると、阪神大震災から10年目の追悼式典に出席された際、震災で身内を亡くした少女からヒマワリの種をもらい、このヒマワリが成長する様子を歌に詠まれたとのことです。
初夏の光に眩さよりも、希望や暖かさを強く感じるのはそのような背景からなのですね。

さて歌会始の御製歌を見返すと、陛下は平成14年【春】の題においても阪神大震災に関わる歌を詠まれていました。
「園児らとたいさんぼくを植ゑにけり 地震ゆりし島の春ふかみつつ」

それだけではありません。
平成28年【人】「戦ひにあまたの人の失せしとふ 島緑にて海に横たふ」
平成26年【静】「慰霊碑の先に広がる水俣の 海青くして静かなりけり」
平成28年【岸】「津波来し時の岸辺は如何なりしと 見下ろす海は青く静まる」

このように被災地や過去の悲劇を主題にされた歌を幾度も詠まれていることが分かります。

私は和歌の中では御製歌にこそ、個性が色濃く出ると思っているのですが、
そう考えると、今上天皇はたえず国民に寄り添ってこられた方であったのだと強く感じます。

平成最後の歌会始め、身にしむ歌を拝聴しました!

(書き手:歌僧 内田圓学)

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