辞世の歌 その19「打つものも打たるるものも土器よ砕けて後はもとの土くれ」(三浦義同)

無常の様相 その1「受け入れる」
「打つものも打たるるものも土器よ砕けて後はもとの土くれ」(三浦義同)

三浦義同(道寸)は戦国時代はじめごろの武将で、相模国東部を修めた三浦一族の当主でした。しかし北条早雲らの侵攻をうけ、あえなく討死、ここに平安時代から続いた三浦一族は滅びたのでした。辞世の歌はその最後の戦、玉砕に前にした詠んだ歌だといわれます。

土器(かはらけ)とは素焼きの陶器。まさに人間とは「土器」ではないか、打つ者も打たれる者も簡単に砕けてしまい、もとの「土塊」に戻るのみだ。長明は「泡沫」に例えた無常を、義同は「土器」とした。砕く、砕かれるという表現に破壊的な印象を強く受けますが、これが武将ならではの無常の様相といえるのかもしれません。そして、それをそのようなものだと受け入れているところに、三浦義同の人生観が現れています。

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(書き手:歌僧 内田圓学)

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