逢坂の関の清水にかげ見えていまや引くらむ望月の駒(紀貫之)

「駒」とは「子馬」のことである、決して将棋や双六の歌ではない。ところでこの「駒」、詠まれる季節は秋である、なぜか? 実は歌にも「望月」が見えるように八月の望月のころ、諸国から献上された馬を鑑賞するという宮廷行事があったのだ、これを駒牽(こまひき)という。当時の人間からすれば数ある風物詩のひとつであったかもしれないが、個人的にはどうしても「ドナドナ」を連想してしまい、ついつい子馬の行く末が心配になってしまう。

(日めくりめく一首)

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