目もかれず見つつ暮さむ白菊の花よりのちの花しなければ(伊勢大輔)

『飽きることなく見続けていよう、白菊の花より後に花はないのだから』。早春の「梅」に始まる和歌の花は、晩秋の「菊」で締めくくりとなる。和歌に詠まれる花において、白菊は唯一色褪せた様さえも愛でられる。それは変容する紫が美しいのもあろうが、やはりこれで見納めという、花への尽きせぬ愛情がそうさせるのであろう。詠み人は伊勢大輔、彼女の歌は奇をてらったところがなくほとんど平凡であるが、なんというか奥ゆかしさ、女性ならではの気品を強く感じる。

(日めくりめく一首)

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