まがふべき月なきころの卯の花は夜さへさらす布かとぞ見る(西行)

昨日の卯の花は夕月夜、ほのかな明かりが残っていた。それが新月であったらどうであろう? 今日の詠み人は西行法師、旅の詩人は夜さへ構わず風雅を求め野山を巡る。もとより人工的な灯りなどない射干玉の闇、月がなければ足取りも止む。しかしどうだ、ここに月明に見まがう光源があるではないか。それは卯の花、真白き花は日に晒した布のごとく新月の闇をさらす。よしこれで、まだ見ぬ深山の桜を求められる! そう言わんばかり、西行は卯の花などただの灯りと役立てるのであった。

(日めくりめく一首)

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年冬号(Amazonにて版販売中)

jaJapanese