待ちかねて訪ねざりせばホトトギスだれとか山のかひになかまし(源俊頼)

この度やむなくホトトギスを片仮名表記にしている。古今集最古の写本とされる高野切れなどは全て平仮名(変体仮名含む)で和歌を書写しているが、私は可読性を優先して要所で漢字を用いている。ホトトギスもそうしたかったのだが、これを表する漢字はなんと二十種を超えてあるのだ、しかもそれぞれ特有の意味合いを含んでおり公平を期すために片仮名表記とした。
と、前置きが長くなった。歌を直訳すると『待ちかねても来てくれなかったらホトトギスよ、誰と山の峡で鳴いているのだろうか』だが、なんだかモゴモゴして分かりにくいのは「峡(かい)で鳴く」と「甲斐なく」を掛けているためだろう。だとすると裏の意味としては『待ってても来なかったら意味なくね?』である。俊頼の俊頼による俊頼のための歌だ。

(日めくりめく一首)

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