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花は帰らで 蛙鳴く


桜の花も散り、梅から続いた春の熱狂も終わり。ですが、これで春が終ったわけではありません。
藤や山吹そして「蛙」が、暮れゆく春をもうひと飾りします。

蛙といえば…
「古池や 蛙飛びこむ 水の音」ですよね。

この句は芭蕉七部集の「春の日」に収められているように、昔から蛙は春の季語とされてきました。
そのゆかりを辿ると、なんと万葉集にまでさかのぼります。

「蛙鳴く 六田の川の 川楊の ねもころ見れど 飽かぬ川かも」
「蛙鳴く 吉野の川の 滝の上の 馬酔木の花ぞ はしに置くなゆめ」
「蛙鳴く 甘奈備川に 影見えて 今か咲くらむ 山吹の花」

このように万葉集では「川楊(かはやぎ)」や「馬酔木(あしび)」と取り合わせて詠まれた蛙ですが、古今和歌集では山吹のみに限定されています。
「蛙鳴く ゐての山吹 散りにけり 花のさかりに あはましものを」

「蛙」と「山吹」のセットが一般的になったのは、古今集以後とみてよさそうです。

それにしても芭蕉ですよ。
伝統的に「鳴く」様子が詠まれてきた蛙、その「水に飛び込む音」を歌にしたんですからね。凡人とは発想が違います。

さてこの「蛙」、雅を貴ぶ和歌の題材としては少々似つかわしくない気がしませんか?
そのためか「かえる」ではなく「かわづ」と上品に発します。ちなみにこういうのを「歌語」といいます。

都会では聞くことができませんが、そろそろ田んぼでは夜の大合唱が始まる頃です。


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