としよりは斯く語りき「神祇のおもしろエピソード」~和歌中級者におくる至言~

むかし、としよりはこのように語った…

なんかワシの話がつまらんというような顔をしとるのお。
しょうがない、今日はちょっと面白い歌を紹介してやろう。神祇の歌じゃ。

「近江なる筑摩の祭りとくせなむつれなき人の鍋の数見む」

知っておるか、伊勢物語にも詠まれた「鍋」の話?
なに知らん!? これは愉快、では教えてやろう。

むかし近江の国のある祭でな、女がこれまで交際してきた男の数だけ「土鍋」を作って奉納するというのがあったんじゃ。とんだ罰ゲームじゃろ?
となるとまあ、付き合った数が多い女はとうぜん世間体を気にして数をごまかすわな。しかし、これがいかん。
ほんま、神様はすごいなぁ。女が少しでも鍋の数を減らして申告しようもんなら、たちまち体の具合が悪うなってしまうんじゃ。んで、たまらず正確な数を申告するとそれが治ったという。

おもろい話じゃろ~、まだあるで。

「いかにせむ鵜坂の森にみはすとも君がしもとの数ならぬ身を」

これは越中鵜坂にある祭の話じゃ。
今度はもっとひどいぞ、女は交際した男の数だけ「尻」をぶたれるのじゃ。
まず女が禰宜(神官)に尻を向ける、そうすると笞(しもと・むち)を持った禰宜が男の数を聞いてくるので、その数の分だけぶたれるのは先ほどの土鍋といっしょじゃ。
で、土鍋と同じように過少申告するとこちらも天罰が当たり、たちまち女は鼻血が止まらなくなっという。

プププ。もしかしてこれ、SMのルーツなんちゃう?

ひどい話じゃが、おもろかったやろ。
いやいやいや、まじだって。本当にあった話だって。でもその様子が詠まれたちょうどいい歌がなかったから、さっきの歌はワシが今つくった。

ん、今回はおもろかったけどためにならんかった?
ふんっ、もういい。やる気のない弟子はとらん!
アクセス数もあんまり伸びんから、ここいらでこのコーナーは終いじゃ!

としよりのひとり語りはひとまず終わる…

「としよりは斯く語りき」一覧

(聞き手:和歌DJうっちー)


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