今日の詠み人は京極為子、為教の娘である。だからといって為子なんて名前はあんまりだ! と考えるのは現代人の感覚である。ちなみに二条為世にも為子という娘がいて間違いやすい。このころは為家由来の「為」がブランド化されていたのだ。
さて、今日の歌にも涼しさを望む「水」が詠まれている。風と谷下のせせらぎの音が調和して耳から一服の涼を得る、という趣向だ。ポイントは夕山影であろう、この風景を添えることで気温が5度くらい下がった気がする、あくまでも印象の話であるが。「音」「声」と続いて三句を正直に「なり」で締めたところも気持ちよく響く。うだるような残暑にこそ思い起したい一首だ。
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