霜おかぬ袖だに冴ゆる冬の夜に鴨の上毛を思ひこそやれ(藤原公任)

今日の歌は珍しい、何がといえば「鴨」が詠まれているのだ。『思ってごらん。霜を置かない袖だって冷たい冬の夜にだよ、池の鴨の上毛はどんだけ冷え冷えとしてるかってことを!』。詠み人は風流人の誉れ高い藤原公任、確かに歌の内容に同意はするが肝心の情趣は乏しい。ところで冒頭のとおり「鴨」なんてのはほとんど和歌に詠まれない、おそらくであるが、古くから食用として好まれた鳥獣であったため、歌題に適さないとみなされたのではなかろうか、鴨は。

(日めくりめく一首)

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