雨はるる軒の雫に影みえて菖蒲にすがる夏の夜の月(藤原良経)

いやーやっぱり良経はカッコいい。もちろん貫之や定家もいいけど、彼らは歌の専門家。良経はなんたって従一位で摂政の大貴族だってのにこんな素敵な歌を詠む(そう考えると、後鳥羽院なんて人はなおさらすごい)。
歌の菖蒲は「あやめ」と読む。となると現代人は紫色の花を思い起こすかもしれないが違う、和歌で詠まれる菖蒲(あやめ)は「根菖蒲」なのだ。ちなみに「いずれ菖蒲か杜若」という言葉もあって、本来はさらに詳しい説明すべきだが長くなるので省く。
さて、歌はこれを軒に飾る「軒菖蒲」を詠んだものだ、菖蒲はその強い芳香が邪気を払うとされた。五月闇が続きようやく垣間見えた月の頼りなさ、これが彼独特の感性で表現されている。声調の美しさとはうらはらに張り詰めた緊迫の情景、このような芸術は良経にしかなしえない。

(日めくりめく一首)

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