秋風はやや肌寒くなりにけり一人や寝なむ長きこの夜を(源実朝)

よみ人:源実朝 、所収:金槐和歌集

少なからず秋風には久しい友との再会を思わせる感動があった、だが今日の歌はどうだろう。『秋風は肌寒くなってきた。一人で寝るのだろうか、長いこの秋の夜を』。印象的なのは「けり」で結んだ三句切れ、この歌において上句と下句の世界はほとんど連絡を断っている。作者にとって秋風とは虚しき身の上を知るひとつの現象に過ぎず、自分とは無関係のよその現象に過ぎないのだ。季節が変わったところで、自分は変わらず孤独に過ごすだけ、源実朝の孤独とはいったいどれほど深くあったのだろう。

(日めくりめく一首)


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