「時雨に寄せる心」を続けるが、これまでの触れたら霧散するような繊細さが今日の歌には見えない。詠み人は道因、やはり男の詠みぶりであった。『晴れたり曇ったり時雨の空模様ははっきりしないが、俺のところだけはずっと降りまくってるよ!』、今日の歌は袖だけでなく全身びっしょりとった感じだが、「降る」に「経る」を掛けて、止めどなく老いる身を嘆く趣向となっている。道因はこの歌を何歳で詠んだのだろう、鴨長明の「無名抄」によると九十歳の高齢になってなお、耳も遠いのに歌会に参加し傾聴していたという。いくら時雨が降り続けようと道因の歌心は燃え尽きなかったようだ。
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