時雨の雨染めかねてけり山城の常盤の杜の真木の下葉々(能因)

『時雨の雨もさすがに色を染めることが難しいようだ、山城の常緑樹の森の葉は』。松に杉、樫の木など通年葉が存在し色も変わらぬいわゆる常緑樹を「常盤(ときわ)」と呼ぶ。昨日鑑賞したように「時雨」は木の葉を染めるというのが本意であるが、その時雨を以てしても色が変わらない木々があるという着眼におかしみがある。しかし発想が単純すぎて言葉をむりくりに繋げた感が否めない。“時雨”と“雨”、“常盤”と“真木”さらに“杜”に“木の葉”、ほとんど同じ意味を成す言葉が並んでいる。なんとか工夫を得んと倒置を加えるが、なおさらドタバタしてしまって結果を得られなかった。

(日めくりめく一首)

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