春ごとに心をしむる花の枝にたがなほざりの袖かふれつる(大弐三位)

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という言葉があるが、これはなにも袈裟(=モノ)に収まらない。憎ったらしいその人を連想するのなら、「匂い」だって苦々しい存在となるだろう。それが優雅な梅の香りであっても。
今日の歌は、昨日の定頼に対する返歌となる。「春ごとに心をしむる」とあるように、二人は長い間恋人同士であった。しかし男は心変わりし、よその女にうつつを抜かす。それが久しぶりにやってきて、梅の花をだしに口説いてきたのだからたまらない。『だれよ、私の袖に移ったこの梅の匂いは! チャラ男臭くて最悪なんだけど!!』。女は拒絶するが、本音はどうであろう。「いでそよ人を忘れやはする※」だったのかもしれない。

※「有馬山猪名の笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする」(大弐三位)

(日めくりめく一首)

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