別れをば山の桜にまかせてむ留む留めじは花のまにまに(幽仙法師)

よみ人:幽仙法師 、所収:古今和歌集

温暖化の影響だろう、桜の開花は年々早まっているそうだ。1980年代までは東京でも4月の開花があったが、近年は3月下旬が通常となっている。これに伴い風景が一変した行事がある、入学式だ。かつては満開の花の下新たな一歩を踏み出すという思い出にも絵にもなったが、今や希望の花は散った後、無残である。であるから、桜は別れを飾る花として現代に相応しいかもしれない。
『別れは山の桜にまかせよう。引きとめるとめないは花にまかせて』。出会いがあれば別れがある、今がその時… 頭でわかっていても心は納得していない。そんな時は、いっそまかせてみようじゃないか桜花。これが散り終わったとき、きれいさっぱりお別れしよう。幽仙法師が残したのはこれを含めてわずか二首(いずれも古今集)だが、この歌は本当に沁みるなぁ。

(日めくりめく一首)


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