歌集の個性と歌人の個性、どちらが優先されるべきだろうか? 当然歌集の方である。技巧で鳴らした古今撰者のひとり貫之も、新古今には明らかに新古今好みの歌風で採られている。今日の七夕歌を見よ、得意の縁語、掛詞といった言葉遊びはいずこ、墨の匂い淡く、隠者が口ずさむような寂しき終焉の情景が詠まれている。なるほど貫之はこんな歌も詠んだのかと、一寸の感動すら覚える。
さて、これにて七夕歌も区切りとしよう。明日からはとりどりの秋をご紹介する。
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