詞書きには「歳暮のこころ」とある。ところで私たちはどのような心持ちでこの歳暮を迎えているだろうか? 歌合戦に除夜の鐘しまいにはカウントダウンと顔を朱に染めて興奮に励んでやしないだろうか。『一年なんてひと時の夢のよう、年が暮れることに今はっと気づいた』。現代人の虚しき高揚、古人の過剰なまでの恐怖、 (前律師)俊宗はこれらを止揚した達観の境地で暮れゆく年を眺める。人生は夢、せめて歳暮の夜くらい静かに自らを顧みたい。
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