わが宿の梢の夏になるときは生駒の山ぞ見えずなりぬる(能因)

これまた才気に富んだおもしろい歌だ。『梢が夏になると山が見えなくなる』とは、葉が繁って風景を遮っているためで、趣旨としてはそれだけ夏らしくなってきたということだ。ところで「生駒」と「夏になる」だが、「駒」と「成る」は縁語であるというのは考えすぎだろうか。将棋は最も古いもので天喜六年(1085年)と書かれた「駒」が興福寺境内から発掘されているから、その筋も可能性として残しておきたい。 詠み人は初代流浪の歌人というべき能因法師であるが、ともかく西行をはじめ遍照、素性など、このような数寄の戯れのような歌をさらっと詠めるのは俗世を離れた出家者でないとなせぬ技である。

(日めくりめく一首)

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