『鳴けや鳴け! 蓬が茂って荒れ果てた杣山のきりぎりすよ。過ぎ去って行く秋はこんなにも悲しいのだ』。「きりぎりす」という名はどうにも言葉遊びが出来なかったらしい、ほとんどの和歌では素直にその音色が詠まれている。ただ今日の歌、秋の夜長にしんみりと虫の音に聴き入るという感じではない、どうせ悲しくなるのなら、いっそのこと鳴いて鳴いて鳴きまくれ! と叫びにも似た激情が詠まれている。詠み人は曽禰好忠、おそらく自身も虫と重奏するように泣いて泣いて、行く秋に思いを寄せていたのだろう。
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