早いもので今年もあと半月。
今年は平成最後の年末とあって、いつにも増して世の中が感傷的な「年の暮れ」を迎えようとしています。
さてこの年末に寄せるセンチメンタルですが、
歴代の勅撰集も「冬部」の終わりにこれを歌に詠んで、巻を結んでいます。
例えば「古今集」、
「昨日といひ 今日とくらして あすか川 流れてはやき 月日なりけり」(春道列樹)
(明日)を(飛鳥)に掛けるあたり、さすが古今集ですね。
時代も下ると、年の暮れはさらに意識されていきます。
その端的な表れが「堀河院御時百首和歌」。
通称堀川百首は「組題百首」の規範となったことで有名ですが、その四季題の最後は「除夜」なのです。
「はかなしや わが身も残り 少なきに なにとて年の 暮れを急ぐぞ」(祐子内親王家紀伊)
旧暦では年が明けるとまさに新春だったわけで、晴々しい期待感も強かったと思うのですが、やはり年が終わってしまう寂しさは、現代の私たちと同じ感覚だったんですね。
ちなみに堀川百首の一番歌はこれ、
「春たちて 梢に消えぬ 白雪は まだきに咲ける 花かとぞみる」(藤原公実)
平安歌人の寂しさは、白雪の花が慰めてくれます。
ところで私たちはどうでしょう?
ゆく年の虚しさを慰めてくれる、新春の風物といえば……
さしずめ「初笑い」に「駅伝」でしょうか? う〜ん、ちょっと無風流でしたね。
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