夕立ちの風にわかれてゆく雲に遅れてのぼる山の端の月(藤原良経)

今日は旧暦の6月14日
よみ人:藤原良経 、所収:風雅和歌集

風雅集に採られた良経の写生歌、例によって適役は不要だ。夕日と月が交換する、眩い瞬間を切り取ったフォトジェニックな一首である。新古今であれば「風に分かれる雲」や「遅れておぼる月」といった前景化されたモチーフの裏に必ず別の思想が投げ込まれていたが、玉葉風雅の純写生歌にはそれがない。確かに当時は新しい発明であったろうが、どうしても物足りなさが残る。特に日没前後の風景は「マジックアワー」「ブルーアワー」といって素人写真家でもまさに魔法的な芸術写真が撮れてしまう。これでは歌の審美もつけられぬというものだ。

(日めくりめく一首)

→令和の古今伝授(和歌を詠み書くための会、神無月)10/27(日)9:50~11:50