一首探究「袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」(紀貫之)~貫之の名誉を回復する~
和歌の復興を成し遂げるうえで、どうしてもやらなければならない仕事がある。それは「紀貫之の名誉回復」だ。さかのぼれば定家にもみえる貫之批判だが、 むかし貫之、歌の心たくみに、言葉強く姿おもしろきさまを好みて、余情妖艶の体を...
和歌の復興を成し遂げるうえで、どうしてもやらなければならない仕事がある。それは「紀貫之の名誉回復」だ。さかのぼれば定家にもみえる貫之批判だが、 むかし貫之、歌の心たくみに、言葉強く姿おもしろきさまを好みて、余情妖艶の体を...
「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして」(在原業平) 業平を語る上でけっして欠かすことができない一首。古今集恋五の巻頭を飾り、伊勢物語の第四段にも載るこの歌には、長い詞書が添えられている。 昔、東の五...