既視源氏物語 ~古今集恋歌の光る君~ その21「愛の絶頂」

635 「秋の夜も名のみなりけりあふといへは ことそともなくあけぬるものを」 (小野小町)
637 「しののめのほからほからとあけゆけは おのかきぬきぬなるそかなしき」(よみ人しらす)
639 「あけぬとてかへる道にはこきたれて 雨も涙もふりそほちつつ」(敏行)

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人生とはかくも素晴らしいものだったのか

愛しい人に逢える

なんと幸せなことであろう

秋の夜長などと言うが、それは名前のみであったようだ

愛しい人といると、あっという間に夜が過ぎてしまう

ほら、もう夜が明けた

必ずやってくる別れの時

寂しさの涙か雨だか分からないがずぶ濡れだ

でもいい

またすぐ逢えるのだから

人は愛するために生きている

この時は心の底からそう思った

しかし

愛の絶頂はほんの一瞬なのだと

間もなく気づくことになる

(書き手:歌僧 内田圓学)
→関連記事「既視源氏物語 ~古今集恋歌の光る君~(総集編)
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