敬愛なる尼君
あなたは冗談だとお思いかもしれない
だが私は本気です
「面影は身をも離れず山桜 心の限りとめて来しかど」
あの紫の少女の姿が頭から離れないのです
今まで忍び留めてきましたが、もう限界です
私の純愛をどうかご理解ください
そして一言だけでも話ができる機会をください
(源氏)
本気となった源氏は怖い。
自らの才知を掛けてあらゆる手を尽くす。
今回も絶妙なタイミングで尼君に仕掛けた!
その場にあった紙に思いを美しくしたためる。
そして手際よく結び文に仕立てたのであった。
目論み通り、尼君の心は動かされたようだ。
(書き手:歌僧 内田圓学)
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