635 「秋の夜も名のみなりけりあふといへは ことそともなくあけぬるものを」 (小野小町)
637 「しののめのほからほからとあけゆけは おのかきぬきぬなるそかなしき」(よみ人しらす)
639 「あけぬとてかへる道にはこきたれて 雨も涙もふりそほちつつ」(敏行)
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人生とはかくも素晴らしいものだったのか
愛しい人に逢える
なんと幸せなことであろう
秋の夜長などと言うが、それは名前のみであったようだ
愛しい人といると、あっという間に夜が過ぎてしまう
ほら、もう夜が明けた
必ずやってくる別れの時
寂しさの涙か雨だか分からないがずぶ濡れだ
でもいい
またすぐ逢えるのだから
人は愛するために生きている
この時は心の底からそう思った
しかし
愛の絶頂はほんの一瞬なのだと
間もなく気づくことになる
(書き手:歌僧 内田圓学)
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