池水に今宵の月を映しもて心のままに我がものと見る(白河院)

平安時代、その時々に帝王というのは存在したが真に傑出した人物は稀にしかいない。仮に右の横綱を「藤原道長」とすれば、左は今日の詠み人「白河院」であろう。道長は万感極まって例の望月の歌※を詠んだが、今日の歌はそれを凌駕する。『池の水に今宵の月を映してみれば手に入れたも同然、(この世のすべて)俺のもんだと思う』、まさに天上天下唯我独尊、信じられない自惚れであるが、まあ驚くこともない。「賀茂河の水、双六の賽、山法師」それ以外は思いのまま、こう言ってのけたのが白河院であった。

※「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」(藤原道長)

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