青柳の糸よりかくる春しもぞみだれて花のほころびにける(紀貫之)

およそ勅撰和歌集では怒涛の梅の歌群が過ぎたあと、次の桜まで小休止が入る。そこでさらりと詠まれるひとつが、今日の「柳」だ。柳といえば雲竜柳や猫柳もあるが、和歌に詠まれるのは枝垂柳である。これを「糸」に見立て、「よる(撚る)」「かく(搔く)」「はる(春・張る)」「みだる(乱る)」「ほころぶ(綻ぶ)」と縁語のオンパレードで構成された歌、さすが手練れの技巧派貫之! と評したいところだが、結局のところ何を言いたいのだろう? 実は吹きまく春風なのである。柳の動きに変えて、目には見えない荒ぶる春の嵐を捉えたのだ。畳みかける縁語がそれを強くしている。一陣の風が去ったあと、枝垂れの先に小さく黄色い花を結ぶ。

(日めくりめく一首)

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