野辺染むる雁の涙は色もなしもの思ふ露の隠岐の里には(後鳥羽院)

昨日の流れで今日の歌を見れば、内容はほとんど理解できると思う。ひとつ解釈を助けるとしたら「雁の涙は色もなし」の件であろう。昨日に戻ってなぜ「雁の涙が野辺を染める」のか考えると、これは雁が悲嘆にくれた「紅涙」を流すからだ。ちなみになぜ悲しいのかは定かでない。その上で今日の歌、野辺を染めるはずの紅涙に「色がない」とある、なぜか? 詠み人を見よ! 遠島(隠岐)に配流となった帝王後鳥羽院である。二度と戻れぬ都を偲んで流す涙は枯れ果てて、色なんてとうに失ってしまったのだ。

(日めくりめく一首)

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