過ぎぬれば我が身の老いとなるものをなにゆゑ明日の春を待つらむ(肥後)

よみ人:肥後 、所収:玉葉和歌集

年の暮れを包み込む暗黒、頭をもたげる憂鬱の正体それは「老い」だ。『過ぎてしまえば、またひとつ老いを重ねることになるものを、何が嬉しくて明日の春を待つのだろうか』。春、清々しき花々の世界。年という頂きを越え行けば、その懐かしきにまた風景に出会える。しかしその山を越えるたび、無残に人は老いてゆく。そして最後に辿り着くのは死だ! 我々は熟考せなばならない、花との出会いに命を削っていることを。

(日めくりめく一首)