秋風にはつ雁金ぞ聞こゆなる誰が玉梓をかけて来つらむ(紀友則)

よみ人:紀友則 、所収:古今和歌集

さて、実のところ昨日紹介した慈円の雁は新しい趣向である。和歌の雁と言えば今日のような詠みぶりが常套だ。『秋風に乗って到来した雁の音が聞こえる! だれの玉梓(手紙)を携えて来たのだろう?』、ポイントは二つ。ひとつが“雁の鳴き声で秋を知る”、春に繁殖のためシベリアへと旅立った雁(帰雁)は越冬のため秋に舞い戻ってくる。もうひとつが“雁は手紙を携えた使者”である、中国の故事である「雁使(漢書、蘇武伝)」に由り、万葉集にもこれを踏まえた歌がある。二つのうちいずれかの趣向を踏まえれば、立派な古今風和歌は出来上がりだ。

(日めくりめく一首)


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