秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる(藤原敏行)

驚きの事実を述べよう、今日8月8日は「立秋」つまり季節はもう秋なのである。おそらく現代日本人としては、ようやく今が夏の折り返し地点くらいの感覚であるが、暦の上では間違いなく今日から「秋」なのだ。二十四節季は太陽の運行を基準にしているので、月をそれとする旧暦とは無縁である。だから感覚と乖離しているようで、『目にははっきり見えないが』やはりどこかに秋はあるはず、そう『風の音』である。ちなみに歌にある「驚く」は「びっくりする」ではなく、『はっと気づかされる』というニュアンスだ。どうだろう、感覚をすませば熱風の奥に秋風の気配を感じないだろうか? そう思い込んで、もう暫く酷暑に耐えるとしよう。

(日めくりめく一首)

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