秋の夜は山田の庵に稲妻の光のみこそ洩りあかしけれ(伊勢大輔)

よみ人:伊勢大輔 、所収:後拾遺和歌集

雷を別名「稲妻」と呼ぶが、これの理由をご存じだろうか? 辞書を引くと古来、稲妻は「稲夫」と記し雷の光によって稲が実るつまり“稲が妊娠”するという信仰があったらしい。ちなみに本来「妻」も「夫」また「端」も自分から見て他端であるという意でいずれも「つま」と発した。
さて今日の歌であるが、山田に据えた庵から稲光が見えるという趣向である。先の語源を知れば、稲妻と田んぼの取り合わせに意味があることが理解できよう。詠み人は伊勢大輔、春だけでなく※秋の歌も優美である。

※「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな」(伊勢大輔)

(日めくりめく一首)


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