秋のうちはあはれ知らせし風の音のはげしさ添ふる冬はきにけり(藤原教長)

秋を知らせる風は「はっと気づく」というような繊細なものであったが、冬の風はまったくそうでない。『秋の頃は深い情趣を感じさせた風の音が激しくなって、冬が来たんだなぁ』。ビュービュー叩き付けるような激しい風はまるで嵐、嘘のような様変わりだ。ここまで口惜しさが滲み出ていると、冬という季節に同情さえ抱いてしまう。さて、詠み人は藤原教長。能書家としても知られ、柔らかく精妙なかな古筆を残している。

(日めくりめく一首)

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年夏号(Amazonにて販売中)