朝夕に花待つころは思ひ寝の夢のうちにぞ咲きはじめける(崇徳院)

崇徳院というと、まず「瀬をはやみ」※の歌が先に浮かぶであろう。これは式子内親王や源実朝にも言えることだが、現代では和歌=百人一首になっており、これに採られた歌が歌人の印象をほとんど決めてしまう。現代人に和歌に親しむきっかけを与えているという面では、百人一首の功績はずば抜けて高いが、一方で罪の面があることも覚えておきたい。式子内親王であれば「新古今集」、実朝であれば家集「金槐集」そして崇徳院であれば「千載集」などに採られた歌をぜひ鑑賞していただきたい、きっと歌人たちの豊かな側面が知られるだろう(とくに千載集は崇徳院の歌なしには語りえない)。
今日の歌はいたって単純である。『四六時中花を待ち望んでいたら、まず夢の中で咲き始めた』というものだ。長閑であり、ゆったりと気持ちいい春の時間が流れている。

※「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ」(崇徳院)
(日めくりめく一首)

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