星清き夜半の薄雪そら晴れて吹きとほす風を梢にぞきく(伏見院)

京極派の歌は今でも新鮮な聞き心地がする、それは描いた風景もさることながら用いた単語に由る。昨日の「三日月」しかり今日の「星」もその一つだ。これまた驚かれるかもしれないが京極派が現れる以前、和歌に詠まれる天体といえば「月」ほぼオンリーであった。同じ夜の天の原を眺めて、西洋では数多星座の物語を生んだのに対し、本朝歌人らは無視を決め込んだ、まさに星「屑」と言わんがごとく。京極派は当たり前の美しさを当たり前に詠んだのだが、この素直な当たり前の本分にこそ今に残る価値があった。

(日めくりめく一首)

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