志賀の浦や遠ざかりゆく浪間より凍りていづる有明の月(藤原家隆)

よみ人:藤原家隆 、所収:新古今和歌集

地獄には八寒地獄という冷徹で恐ろしい世界があるという。そんな恐怖を覚えるほど、今日の歌には結氷の極みが描かれている。『夜が冷徹に更けゆく志賀の浦では、浪が凍りついて沖へと遠ざかってゆく。その氷の間から、凍りながら有明の月が昇る』。バキバキバキ、凍りつきながらも顔を出す月影、その形相は苦悶に歪み今にも砕けそうだ。しかもこれは有明月なのだ、終わりを告げる有明月なのだ。家隆が意図せずにこれを詠んだとは思えない、少なからず彼の心象風景でないことを願う。

(日めくりめく一首)


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