五月闇くらはし山のホトトギスおぼつかなくも鳴きわたるかな(藤原実方)

よみ人:藤原実方 、所収:拾遺和歌集

「五月闇」は五月雨(さみだれ)が降るころの夜まれに昼の暗さを言う。歌中の「倉橋山(くらはしやま)」は奈良県桜井市倉橋付近の山だろう、耳慣れないが古歌では時おり詠まれて記紀歌謡にも名が残る※。しかしここでは山の場所など意に介さない。「闇」→「暗い」の連想から調子よく口から出てきたものだ。あたりの闇に紛れ、訪れたばかりのホトトギスがほのかに鳴き渡っている。趣向は悪くないが、いかんせん風情に欠ける。それは一首が「くらはし山」という言葉ありきで組み立てられているからだ。ただ、個人的に嫌いではない。

※「はしたての倉橋山は嶮(さが)しけど妹とのぼれば嶮(さが)しくもあらず」

(日めくりめく一首)


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