かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける(大伴家持)

よみ人:大伴家持 、所収:新古今和歌集

鳥は鳥でも今日のは鵲(かささぎ)、百人一首にも採られていて知らぬ者はないだろう。ただその実、この歌は謎めいている。まず「かささぎの渡せる橋」とは本来牽牛と織姫を結ぶ七夕の夜に見えるものだが、このとおり冬季に詠まれている。これを張継の七言絶句「楓橋夜泊」※に求める向きもあるが、とすると家持の作であることは相当に疑わしい。事実これが採られたのは新古今で、万葉集には見えない。ただこのような疑念は横に置き単に冬の天の川、そのように美しく霜が置いた橋ならぬ宮中の階(きざはし)、ここに厳冬の美の凝縮が発見された。

※「月落烏啼霜満天」(張継)

(日めくりめく一首)


令和和歌所ではメーリングリストで歌の交流(セッション)を繰り広げています。現代の「和歌」の楽しさをぜひ味わってみてください。初心者の方のご参加も大歓迎です。