ホトトギス雲居のよそに過ぎぬなり晴れぬ思ひの五月雨のころ(後鳥羽院)

さて、今回も五月雨とホトトギスだ。和歌ではホトトギスの声を聞くと「恋心が助長される」と説明したが、この歌などはそこに五月雨の叙景を重ねて、悶々と空を眺めやるヒロインを描き出している。五月雨はもちろん留まらぬ涙の暗喩となるが、この日並降りしきる雨によって恋人は逢瀬を断たれている、よってなおさら悲劇な恋物語が成功している。三十一文字の文芸が極まった瞬間だ。
詠み人は誰あろう、なんと帝王後鳥羽院なのである。後鳥羽院は定家を見出し、新古今歌風を認めた人物だが、ひとりの歌人としても恐るべき吸収力をもって秀歌を製造する。とにかくまあすごい人だ。

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