明日も来む野路の玉川萩こえて色なる波に月宿りけり(源俊頼)

『明日もまた来よう! 野路の玉川に。萩の花を越えて色が付いた川の波に月が写っている』。作者は源俊頼、「水上月」という題で詠んだ一首が千載集に採られた。昨日の家隆と趣向が似ているが、あちらは「湖辺月」という題で詠まれたものだった。どうだろう、俊頼は家隆よりも二世代程度の先輩にあたるのだが、初句の「来む」という主観表現がなければ新古今のハイレベル作品と片を並べても遜色ない。ともすれば我々は新古今時代に突如天才的歌人たちが現れたように思いがちだが、それは歴々の歌人の試行錯誤の結実なのだ。

(日めくりめく一首)

和歌の型(基礎)を学び、詠んでみよう!

代表的な古典作品に学び、一人ひとりが伝統的「和歌」を詠めるようになることを目標とした「歌塾」開催中!

季刊誌「和歌文芸」
令和六年冬号(Amazonにて販売中)